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第121回キャンサーボード-1  1月9日

第121回キャンサーボード-1  1月9日

大阪市立総合医療センターへ第121回キャンサーボードを聴きに行ってきました

2019年の新しいい話題として
大腸がん 教育研修センター 岡田真穂先生
小細胞がん 腫瘍内科 中谷有貴先生
乳がん 腫瘍内科 坪口裕子先生
周術期における口腔機能管理について 都島区歯科医師会 加藤真悟先生

大腸がん 男性罹患率3位女性がん死亡率1位 S状結腸、直腸など左側大腸に多い
Stage分布 Stage1 21% Stage2 30% 3 32% 4 17%・・
遠隔転移を有するStage4・再発大腸がんの治療 切除 不可能な場合 全身化学療法が主体
現在の治療の考え方の基本の勉強
がんの個別化医療は大腸がんの分野でも進んでいる。切除不能な進行・再発大腸がんでは、KRAS遺伝子の検査と、抗EGFR抗体薬(*アービタックス、*ベクティビックス)による分子標的薬治療が、日本でも定着している。KRAS遺伝子に変異があると、この薬が効かないため、KRAS変異型と診断されたら投与を行わず、変異のない正常型(KRAS野生型)と診断された場合のみ、投与が行われることになる。
*増殖のシグナルをブロック 抗EGFR抗体薬のメカニズム 細胞の表面には細胞の増殖に重要な役割を果たすEGFR(上皮成長因子受容体)という糖タンパクがあり、ここにEGF(上皮成長因子)が結合すると、この糖タンパクが活性化する。そして、細胞核内へつながっている経路に次々信号を伝え、それを受けて細胞が増殖する。このEGFRはがん細胞の表面にはとくにたくさん存在するため、がん細胞ではシグナルがどんどん送られ、細胞が次々に増殖してしまう。そこで、EGFRに結合する物質を投与する(これがアービタックスやベクティビックスなどの抗EGFR抗体薬)。すると、EGFRにEGFが結合できず、シグナルが伝わらずにがんの増殖を止めることができる。ところが、そのシグナル伝達に関わっているKRASと呼ばれる遺伝子に変異があると、抗EGFR抗体薬が全く効かず、むしろ副作用に苦しむだけの結果になってしまうことがわかった。
*BRAF遺伝子変異(大腸癌の分子標的治療薬の効果予測因子として) BRAF遺伝子変異は全ての大腸癌の5%から10%の人に見られ、BRAF遺伝子変異を持つ人は持たない人に比べて予後が悪い 右側結腸原発・低分化型・腹膜播種が多い 
そのため、BRAF遺伝子変異陽性大腸癌患者に対して有効性のある治療方法の確立が期待されており、昨年2016年に改定になった『大腸癌ガイドライン2016』になり漸く、FOLFOXIRI+アバスチン(ベバシズマブ)の治療レジメンがBRAF遺伝子変異のある大腸癌患者に有効であることが示唆された。しかし、FOLFOXIRI+アバスチン(ベバシズマブ)はイリノテカン、オキサリプラチンという殺細胞性の抗癌剤を同時に2剤使う治療レジメンのため骨髄抑制、下痢などの強い副作用が懸念され、限られた患者にしか投与できない。そのため、FOLFOXIRI+アバスチン(ベバシズマブ)以外の新しい治療方法であるBRAF阻害剤と抗EGFR治療薬アービタックス(セツキシマブ)を併用した治療レジメンの有効性の確立が期待されている。(前研究ではBRAFV600E変異株の転移性大腸がんにおいてはBRAF阻害剤のみではEGFRを介した急速なフィードバックを活性化するため、経路シグナルが十分でないことが分かった)
FOLFOXIRI療法は、フルオロウラシル(5-FU)、レボホリナート(アイソボリン)、オキサリプラチン(エルプラット)、イリノテカン(カンプト)を組み合わせた治療法の名前
BRAF阻害薬(エンコラフェニブ)+抗EGFR抗体(セツキシマブ)+MEK阻害剤(ビニメチニブ)の併用療法のついて   N Engl J Med 2019 Sep30
FOLFOXIRI療法+セツキシマブ 205名 vs  BRAF阻害薬(エンコラフェニブ)+抗EGFR抗体(セツキシマブ)+MEK阻害剤(ビニメチニブ) 205名 vs BRAF阻害薬(エンコラフェニブ)+抗EGFR抗体(セツキシマブ) 205名
まとめのみ 既存治療に比べBRAF阻害薬(エンコラフェニブ)+抗EGFR抗体(セツキシマブ)+MEK阻害剤(ビニメチニブ)とBRAF阻害薬(エンコラフェニブ)+抗EGFR抗体(セツキシマブ)は優位な改善が見られた
OS中央値 3剤併用で9カ月 2剤併用で8.4カ月 対照で5.4カ月
対照に対するHR(OS) 3剤併用で0.52 2剤併用で0.60
新たな有害事象は見られなかった 3剤併用でBRAF阻害剤に関する毒性(関節痛、頭痛など)が緩和された
本研究はSecond/Third LINEにおける使用であるがBRAFV600変異型mCRC患者のFirst Lineにおいての新たな標準治療として期待される

乳がんの予後と背景 トリプルネガテブ乳がんの全生存期間は8-13カ月と他のサブタイプと比べて短
基本おさらい
乳がんは、病理検査でがん細胞が持つタンパク質を調べ、その特徴により主に5つのタイプに分類される。それを「サブタイプ」と呼び、その一つがトリプルネガティブ乳がんです。このサブタイプに基づいて、薬物療法の選択がなされます。
ホルモン受容体(エストロゲン受容体;ER、プロゲステロン受容体;PgR)というタンパクがある場合、そこに女性ホルモン(エストロゲン)が結合すると、がん細胞が増殖します。ホルモン療法により餌となる女性ホルモンの働きを減らすことで、がんの増殖を抑えることが可能です。乳がんの60-70%が、ホルモン受容体陽性といわれています。なお、PgRはERが働くと作られるタンパクです。
HER(human epidermal growth factor 受容体 type2)というタンパクは、正常な細胞にもわずかに存在し、細胞の増殖調節機能を担っていると考えられています。このHER2が活性化したり、たくさん持っていたりすると、がん細胞が増殖します。分子標的治療薬のトラスツズマブ(ハーセプチン)により、このHER2だけをピンポイントに攻撃することで、がんの増殖を抑えることが可能です。乳がんの15-30%がHER2陽性といわれています
ホルモン受容体、HER2がどちらも存在しないものが、トリプルネガティブ乳がんに分類されます。
全乳がんの10~15%を占める ホルモン受容体陰性、HER2陰性である 手術後2~3年での比較的早期の再発が多いホルモン療法や抗HER2療法の効果がない 化学療法に対する感受性が高く、治療効果を期待できる 術前後治療としてアンスラサイクリン系やタキサン系抗がん剤が使用される 術前化学療法の効果(病理学的完全奏効)と予後が相関する
若年性乳がんにトリプルネガティブタイプが多い
 
HER2陰性転移・再発乳がんの1次化学療法
アンスラサイクリン、タキサンの投与を強く推奨する 推奨の強さ1エビデンスの強さ 中 
*アンスラサイクリン系抗がん剤=アドリアシン、ファルモルビシンなど
タキサン系抗がん剤=タキソール(一般名パクリタキセル)、タキソテール(一般名ドセタキセル)など
乳がんとPD-1
乳がんの5454例の組織 PD-L1のmRNA発現と背景→全サブタイプでは腫瘍にPD-L1高発現は約20%
ER/PgR陰性・Basal Type・腫瘍径大きい・ki67高値の比較的高悪性度の症例で腫瘍のPD-L1高発現

進行・再発乳がんと免疫チェックポイント阻害剤 (昨年11月から使用できるようになった)
アテゾリズマブ  PD-L1  トリプルネガテブ乳がんの1次治療 ORR 24%(2019)
ベムブロリズマブ  PD-L1 トリプルネガテブ乳がん PD-L1陽性 1次治療 ORR 23%(2017)
アベルマブ    PD-L1 トリプルネガテブ乳がん PD-L1陽性 1次治療 ORR 22.2%(2018)

アテゾリズマブの第1相試験 進行・再発トリプルネガテブ乳がん
結果まとめ
全体での奏功率はわずかに10%(免疫関連反応の基準では13%)であったが、これらの患者における奏効期間の中央値は21ヶ月であり、長期間継続する傾向にあることが示された(これまでのトリプルネガティブ乳がんに対するあらゆる治療の中で最長の奏効期間)。
全生存率は、1年時で41%、2年時と3年時はともに22%であった
重大な副作用はわずか11%と安全性は高いことが示唆された。
過去に抗がん剤治療や抗VEGF治療を受けた人より、初回治療としてアテゾリズマブ治療を受けた人のほうが奏功率が高かった(26% vs 7%)。
腫瘍の生検によって測定した腫瘍浸潤リンパ球のPD-L1発現が高い患者では、低い(または発現がない)患者よりも奏功率が高かった(13% vs 5%)。

抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤 細胞障害性抗がん剤には抗腫瘍免疫を促進するものがある
アテゾリズマブ+nab-PTX併用療法の意義  N Engl J Med 2018 
プラセボ+nab-PTX vsアテゾリズマブ+nab-PTX併用療法

結果 まとめ 本試験には902例が登録、両群に451例ずつ割りつけた。PFSについて(ITT ハザード比[HR]:0.80、p=0.002、PD-L1陽性 HR:0.62、p<0.001)併用群の有効性が示されている。
今回のOSデータ報告は、2019年1月のデータカットオフ時点(追跡期間中央値18.0ヵ月)のもので、ITT解析対象患者におけるOS中央値は併用群で21.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:19.0~22.6)、単独群で18.7ヵ月(95%CI:16.9~20.3)であった(HR 0.86 95%CI:0.72~1.02、p=0.078)。2年時のOS率は併用群42%、単独群39%であった。
一方、
染色抗体SP142により両群で41%がPD-L1陽性と判定され、陽性患者でのOS中央値は併用群で25.0ヵ月(95%CI:19.6~30.7) 単独群で18.0ヵ月(95%CI:13.6~20.1)であり、併用群で7ヵ月の延長がみられた(HR:0.71、95%CI:0.54~0.93)。2年時のOS率は併用群51%、単独群37%であった。
併用群について、新たな有害事象の報告はなく、忍容性は良好であった。

 

2020-01-10 05:57:21

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