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WEB講演会 1月8日

WEB講演会 1月8日

帯状疱疹予防に関するデータ紹介-水痘ワクチン「ビケン」の安全性に関する国内コホート研究を中心に-
大阪市立大学大学院医学研究科 公衆衛生学/感染科学研究センター 准教授 大藤さとこ先生

帯状疱疹の特徴・帯状疱疹の疫学・帯状疱疹予防ワクチンの特徴・帯状疱疹の予防の手段としてのワクチンへの期待
帯状疱疹とは
原因 水痘帯状疱疹ウイルス (VZV)ヒトヘルペス3型
咽頭より感染し水痘・帯状ウイルスが初感染で水痘を引き起こす
→水痘・帯状ウイルスは水痘治癒後も脊髄後根神経節などに長期間潜伏する
→加齢など(宿主の細胞性免疫が低下すると) 水痘・帯状疱疹ウイルスは再活性化し 帯状疱疹を引き起こす
帯状疱疹に関連した痛み
前駆痛(皮疹が出現する前の痛み)3-4日前から 帯状疱疹痛(皮疹出現)28日から6カ月で痛み無くなる
28日以降から約2割の人が帯状疱疹後神経痛:PHNに移行
一般的には帯状疱疹後3-6カ月以上経過したものをPHNという
PHNの痛みの程度
急性疼痛の疼痛強度
痛み
弱い→血管形成術シースの抜去 術後疼痛 陣痛 帯状疱疹 急性頭痛 子宮摘出時 →強い

その他の合併症
眼合併症 眼瞼結膜炎 角膜炎 ぶどう膜炎 網膜炎 眼瞼下垂
ハント症候群 顔面神経麻痺 耳鳴り めまい 難聴
中枢神経系合併症 無菌性髄膜炎 脳炎 脊髄炎
末梢運動神経障害 運動麻痺 筋委縮 膀胱・直腸障害など
播種性帯状疱疹 肺炎 肝炎 脳炎など
眼合併症
特徴 眼部帯状疱疹は、鼻毛様体神経に沿って水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化すると発生する。眼部症状に先立ち
、鼻に帯状疱疹性水疱を伴うこともあり、これをハッチンソンサインという
頻度 帯状疱疹の約10%は三叉神経第一領域に病変が生じるとされている。これらの約半数は眼症状を伴い、眼部帯状
疱疹と呼ばれる
主な症状 角膜炎、結膜炎、ブドウ膜炎、上強膜炎、強膜炎、網膜炎、脈絡膜炎、視神経炎、眼瞼後退、緑内障
失明に至る場合もある
耳性帯状疱疹(ハント症候群)の患者は顔面神経麻痺・難聴・めまいを起こす
原因定義 顔面神経の膝神経節に潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することにより生じる顔面神経麻痺を主張
とする疾患。呼称はJames Ramsay Huntが1907年に自験例をまとめて報告したことに由来する
症状 顔面神経麻痺に加え、痛み、めまい、難聴、耳鳴り、味覚の損失を起こすことがある
(同側の鼻唇溝が浅くなり、口角下垂 )
頻度 ハント症候群は末梢顔面神経麻痺の原因疾患としてはベル麻痺の次に頻度が高く、12-18%を占めるとの報告
がある
診療上の問題 ハント症候群はベル麻痺と比較して一般的に予後が不良であり、自然治癒は30%(ベル麻痺70%)
初期からの十分な治療をもっても治癒は60%(ベル麻痺90%)程度にとどまる
     
中枢神経系合併症 発疹から症状の期間     症状               予後
水痘脳炎    1週間以内     発熱、頭痛、意識障害、けいれん        小脳失調(自然寛解)
               片麻痺、球麻痺、小脳失調 全般性脳炎、     Reye症候群(予後不良)
帯状疱疹脳炎  約5日      発熱、頭痛、意識障害、けいれん        一般に予後不良
無疹性水痘、帯状疱疹ウイルス脳炎 発疹なし 発熱、頭痛、意識障害、けいれん   一般に予後不良
                   デルマトームに一致した疼痛
水痘、帯状疱疹脊髄炎 2週間以内 対麻痺、感覚障害               一般に予後不良(免疫不全患者)
水痘、帯状疱疹髄膜炎 2週間以内 発熱、頭痛、髄膜刺激症状             良好
水痘・帯状疱疹ウイルス感染者のうち、脳炎は0.1-0.2%の頻度で発生するとされており
特に後天性免疫不全、移植、悪性腫瘍および高齢者などの免疫不全状態で有病率が高いとされている

帯状疱疹の疫学
米国では年間80-100万症例 50%は50才以上生涯罹患率10-20%
85才以上では50%発症率
Miyaxzaki 研究 (宮崎県における大規模帯状疱疹疫学研究)
1997-2006年 宮崎県内46施設 3か月―102才の帯状疱疹初診患者
48388例 男性20181女性 28207例
年令別発症率 10-19才に小さなピークと60-69 70-79才に大きなピーク男性<女性

50才以上で約70%
60万人/年 50才以上では5-8人/1000人 80才以上では3人に1人が発症

水痘抗体保有率 20才以上で90%以上
水痘 冬が多く夏が少ない 帯状疱疹 夏が多く冬が少ない
帯状疱疹の発症率の年次推移 発症総数:112267人 平均発症率:4.69/1000人年
1997年に比べ2017年では帯状疱疹発症数 54.5%増 率 68.1%増 高齢化の影響か?

帯状疱疹の再燃は?
USA 1-2年 0.4% 8年 6.2% 20年 5.3% 再燃リスクは追跡期間とともに上昇 免疫状況に関連する可能性
合併症の発生頻度 スウェーデンのコホート研究(2008-2010年)
     男性    女性     全体
帯状疱疹  5328    7968    13296
PHN 121(2.3%) 157(2.0) 278(2.1)
眼合併症  4.1%    4.1%     4.1%
脳炎    0.2%    0.3%     0.3%
髄膜炎   0.2%     0.1     0.1
播種性帯状疱疹 0.4%   0.3     0.3
その他の合併症  1.3%  1.1     1.2%

PHNへの移行率 SHEZ研究 小豆島50才以上12572名
加齢とともにPHN移行リスクは上昇 日本人では50才以上の約2割がPHNへ移行 80才以上は3割以上?
高齢者の帯状疱疹が増加 重症化、PHNのリスク増大の可能性
帯状疱疹の治療 抗ウイルス薬による治療 皮疹出現後3日以内に開始→7日間の内服or点滴
                   鎮痛剤
                   PHNに対しては三環系抗うつ薬、リリカ、神経ブロックなど
                   痛みのコントロール難しく治療反応率約50%という報告も

帯状疱疹ハイリスクリスクグループ
高齢
女性
免疫抑制治療
リンパ腫・白血病・HIVなどの基礎疾患
悪性腫瘍
糖尿病
自己免疫疾患
腎臓病

帯状疱疹の予防としてのワクチン接種
1986年乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」日本で承認
2014年 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」 日本で小児に対する水痘予防の定期接種が開始
2016年 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」 日本 50歳以上の者に対する帯状疱疹予防効果・効能が追加される
ビケンは海外で使用されている帯状疱疹ワクチンZOSTAVAXと同じ岡株を用いたワクチンで、
力価も同等であることから本質的に同じ薬剤として認められている

ワクチンの有効性(ZOSTAVAX)
帯状疱疹発症率が51.3%減少、PHNの発症率が66.5%減少
予防効果の持続性 5年でも45-62%効果あり

PHNの予防効果 9年でも60%前後効果持続
ワクチンの安全性
水痘ワクチン50才以上に対する安全性 国内第三相試験
259例中131例 50.6%に副反応が・・
注射部位の紅斑 44% 掻痒感 27.4%熱感 18.5%腫脹17%疼痛 14.7%硬結13.5%
全身性 倦怠感 1.5% 発疹 1.5%
有効性 帯状疱疹の予防に対して約50% PHNの予防に対して約65%

安全性 3人に1人局所反応あり 全身反応は数%→いずれも数日で軽快
基礎疾患患者に対するワクチン有効性
(ZOSTAVAX コホート研究)
    特性     対象者数   ワクチン有効率
USA 65歳以上高齢者  766330      48%
糖尿病        300015       50%
腎疾患        183761       49%
糖尿病+腎疾患    106026       46%
UK 70歳以上高齢者            67%
糖尿病                  55%
免疫抑制剤                66%
帯状疱疹既往               53%
USA 自己免疫疾患   463541       39%
化学療法中       21476       42%

基礎疾患患者における有害事象 健康人1200vs基礎疾患患者300人 前向きコホート
28日間   健常成人 基礎疾患患者
男性     51%    63%
50-59歳    44%    21%
60-69歳   35%     43%
70歳以上   20%     36%
帯状疱疹既往  13%    16%
ワクチン接種歴 0.3%    1%

基礎疾患 糖尿病・悪性腫瘍・自己免疫疾患・腎疾患 健康成人と有害事象に差はない
帯状疱疹既往ありでは注射部位反応がやや多い
ワクチン安全性研究での基礎疾患の詳細
悪性腫瘍:寛解期にあるもの 除外:過去6か月以内に免疫抑制剤作用にある抗がん剤・放射線治療を受けた
糖尿病           除外:腎症・網膜症・神経障害のいずれかを併発した者
自己免疫疾患 関節リウマチ・SLE・IBD・膠原病など 除外:過去6か月以内に免疫抑制剤・ステロイド・生物学的製剤・JA
                           K阻害剤をうけたもの
腎疾患 eGFR46-59が3か月以上持続 除外:免疫抑制剤・ステロイドで治療中の者
 
*2016年3月50歳以上対する帯状疱疹の予防として承認取得
接種不適応者

1明らかな発熱を呈している
2重篤な急性疾患にかかっている
3本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあきらかな人
4明らかな免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けているもの

5妊娠が明らかなもの

 

2020-01-09 09:52:15

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