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WEB講演会 12月3日

WEB講演会 12月3日

変わる便秘診療 -新規治療薬の位置づけを中心にー 川崎医科大学 消化器内科学 教授 塩谷昭子先生
便秘の警告症状
最近発症した便通異常 体重減少 大腸がんの家族歴 血便 50歳以上→ 早やかに大腸内視鏡検査・便潜血
症候性便秘の一般的な原因
症候性 内分泌・代謝異常 糖尿病 甲状腺機能低下症 副甲状腺ホルモン亢進
神経疾患 パーキンソン病 自律神経障害 脳血管障害 ヒルシュスプリング病 多発性硬化症
筋障害性/膠原病 アミロイドーシス 筋緊張性ジストロフィー 強皮症 皮膚筋炎 慢性関節リウマチ
精神疾患 不安神経症 うつ病
電解質異常 高カルシウム血症 低カリウム血症
その他  妊娠 鉛中毒
便秘に関する薬剤
抗うつ薬 三環系抗うつ薬 カルシウムブロッカー 抗てんかん薬 利尿剤 抗ヒスタミン薬 MAO阻害薬
抗パーキンソン薬 オピオイド系薬 向精神病薬 交感神経作動薬 鎮痙済 抗コリン薬

一般薬 制酸剤(アルミニウム、カルシウム)止痢薬 サプリメント(鉄、カルシウム含有)非ステロイド性鎮痛剤
当院初診患者の便秘原因 1025例
解析対象 912例→便秘(-)60%便秘(+)24%便秘薬内服16%
神経疾患 n=78 便秘 23.1%便秘薬内服39%
糖尿病n=98 便秘 24.1%便秘薬内服14.8%
精神疾患 n=72 便秘 16.7%便秘薬内服50%
前立腺肥大 n=43 便秘 27.9%便秘薬内服37.2%
症候性便秘の患者さんは便秘薬治療例が多いが症状のコントロールは不良で特に糖尿病患者で顕著であった
糖尿病と便秘
神経障害と変性 自律神経障害・腸管神経系 Cajal介在細胞の減少
消化管平滑筋障害

パーキンソン病と便秘
66%で便秘症状が認められ、疾患の重症度と便秘は有意に関連する
PDの消化管運動障害
上部消化管症候 30%程度 下部消化管症候 70%(便秘)
胃排出が高度に低下すると、レポドパのp吸収が遅延し、運動症状が増悪する可能性がある
偽性腸閉塞(マヒ性イレウス)、悪性症候群、宿便潰瘍の誘因となる
PDの排便障害は運動症状に先行してみられる

PDとα―シヌクレイノパシー
α―シヌクレイノパシー(α―シヌクレインの蓄積による神経変性疾患)中枢神経系・自律神経系・腸管神経系を含む
α―シヌクレインの凝集は、ENSの粘膜下神経叢で始まり、DMVN(迷走神経背側運動覚)の迷走神経節前線維を介して
逆行性にCNSに伝播 
腸管におけるα―シヌクレイノパシーはPD初期のバイオマーカー
便秘と慢性腎臓病
便秘症患者では慢性腎臓病の発症率が優位に高くなる
CKDと便秘
腸管への血流障害神経障害による腸管蠕動運動の低下・薬剤の影響・食事制限・腸内細菌叢の変化などが関与する
血流障害 → → 粘液分泌低下 腸管蠕動運動低下
神経障害    
    治療薬の影響
    食物繊維摂取不足
    デイスバイオーシス

     ← ←
   電解質異常への影響
   腎機能低下促進の可能性

便秘と血栓症
排便回数が減少すると心血管及び脳卒中による死亡リスクが上昇することが知られている
高齢者のいきみ等の影響により排便時に血圧が急激に上昇する傾向があるため、心血管イベントのトリガーリスクになる可能性が 高齢者 排便中 120→140以上に

便秘の治療
膨張性下剤 バルコーゼ・コロネル・ポリフル
浸透圧性下剤 酸化Mg クエン酸Mg マグミット・マグコール
      ポリエチレングリコール モビコール
      ラクツロース ラグノス
      ジオクチルソジウムスルホサクシネート コーラック・ベンコール
刺激性下剤
      アントラキノン系 センノシド センナエキス アロエ プルセニド ヨーデルS
      ジフェニール系 ピサコジル ピコスルファートNa ラキソベロン
上皮機能受容体
クロライドチャネルアクチベーター     アミティーザ
グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト  リンゼス
胆汁酸トラスポーター阻害剤        エロビキシバット
漢方薬                大黄甘草湯 麻子仁丸 大建中湯
末梢性μオピオイド受容体拮抗薬     スインプロイク
 
慢性便秘症に浸透圧性下剤は有効か 推奨1 エビデンスA
ただしMgを含む薬剤は定期的にMg測定を推奨する
*有害事象少なく 小児、妊婦にも使用可 胃酸で活性化され薬効を発揮する 便を膨潤化する
腎機能障害を有する高齢者に酸化Mgを投与しないように強く推奨されている 1g/日以上危険
定期的血清Mgモニタリング必要

使用注意薬剤 テトラサイクリン系抗生物質 フルオノキノロン系抗生物質
ロスバスタチン ラペプラゾール ジギタリスなど活性型ビタミンDでは高Mg血症注意
*高マグネシウム血症の初期症状
悪心、嘔吐、筋力低下、深部反射低下 徐脈 低血圧 末梢血管の拡張による手足の熱感
血中Mg≧10mg/dl ただちに中止 8-10mg/dlでアキレス腱反射消失(QT延長など)

*酸化Mgは胃酸と反応することで有効成分である炭酸マグネシウムの変換される
PPI等の酸分泌抑制製剤により胃酸分泌が抑制された環境下では酸化Mgの効果が減弱する
酸化Mg改善率 1000mg/日 非内服群 72.2% H2RA群 36.4% PPI群 36,4% 胃切除 0%
モビコール ポリエチレングリコール(PEG)
便中水分量増加便が軟化、便容積が増大 大腸蠕動運動促進
*モビコールに配合されている電解質により、腸管内の電解質バランスを維持して、便中の浸透圧を保持する
完全自発排便回数・自発排便回数を増加させる 52週維持 ブリストール便形状 4-5に
モビコール 12才以上 1回2包/日 6包まで
慢性便秘に刺激性下剤は有効か 推奨2エボデンスB
有効も屯用または短期間使用を推奨する
長期連用による耐性等のリスクがあり、IBSには腹痛症状誘発するので控える

漢方薬 まず西洋薬を使用し効果がない場合使用 大黄甘草湯 麻子仁丸 大建中湯に関するエビデンスがでている
しかし甘草が配合されている場合は電解質(低K血症)に留意する必要がある
下痢便秘を繰り返す過敏性大腸症候群に伴う便秘には桂枝加芍薬湯が使用される
胆汁酸トランスポータ阻害剤 エロビキシバット
胆汁酸の腸管循環
肝臓で作られた胆汁酸は小腸で脂肪の吸収に関り、約95%が再吸収され門脈を通り肝臓へ戻ります
エロビキシバットは回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(BAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させ、

1大腸内の水分分泌 cAMP生成、CTFRが活性化されClイオンを分泌、傍細胞経路によりNa+、H2Oが分泌される
2 大腸運動促進 5-HT(セロトニン)が腸管側に放出され、腸管神経叢内の内在感覚神経であるIPAN(内在性一次求心性神経)を活性化させる。口側、肛門側運動ニューロンが活性化され、口側ではAchなどが分泌され収縮を起こし、肛門側ではNOなどが分泌され弛緩する 10mgを1日1回食前に経口投与 最高用量15mg
粘膜上皮機能変容薬
クロライドチャネルアクチベーター:腸管水分分泌にはクロライドイオンの移動が必要
ルビプロストンは小腸上皮頂端膜に存在するCLC-2クロライドチャネル活性化
腸管内の水分分泌を促進し、便を軟らかくし、腸管内の輸送を高め、排便促進
ルビプロストン1回24μgを1日2回 (12μgも出た)、朝食後夕食後に
グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト:リナクロチドは腸管上皮細胞表面に存在するグアニル酸シクラーゼC受容体
に作用し、腸管内への水分分泌を促進する、また求心性神経の痛覚過敏を抑制
することにより、腹痛、腹部不快感を改善する
過敏性大腸症候群 便秘型 脳腸相関の悪循環
脳のストレス→遠心性神経→胃腸に(消化管運動異常:便通異常、内臓知覚過敏:腹痛、ガス、腹部膨満感)→求心性神経→脳 心理的異常:不安・緊張・抑うつなど
最近では腸内細菌叢の関与も

IBS-C ではBifidobacterium・Faecalibacterium↓ Lactobacillaceae・・ennterobacteriaceae・Bacteroides↑
結腸通過遅延型便秘に対する便移植治療 改善率53.3%寛解率36.7%
*糞便移植手術にて1名死亡 多剤耐性菌未実施のドナーから糞便移植 ESBL産生大腸菌感染により
IBSにプロバイオティクス・プレバイオティクス  推奨 1 エビデンスA 推奨2 エビデンスC
IBSに抗菌剤 用いないことを           推奨2 エビデンスC
5-HT3拮抗薬                  推奨1 エビデンスA
5-HT4刺激剤                  推奨2 エビデンスB
粘膜上皮機能変容薬                推奨 1 エビデンス B
高分子重合体・食物繊維             推奨1 エビデンスA
リナクロチドの便秘型IBS第三相試験
0.5mg群vsプラセボ
IBS症状の全般改善効果 33.7%vs17.5% 残便感の無い自発的は排便 34.9%vs19.1%
便通改善効果 36.5%、腹痛・腹部不快感改善効果 29.3%
慢性便秘症 52週時点 自発的排便レスポンダー93.8% 残便感のない自発的排便レスポンダー76.9%
リンゼス0.5mg 1日1回 食前に症状により0.25mgに減量を

リナグルチドの特徴
速やかで自然な排便促進作用と腹部症状改善効果を併せ持つ
未変化体では体内にほとんど吸収されず、注意が必要な副作用は主作用に基づく下痢のみ
腎・肝機能障害者でも用量の変更の必要がない薬物相互作用がないため、飲み合わせに注意する必要もない
国内外の診療ガイドにおいて高い推奨度を有する

2019-12-04 05:29:06

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