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WEB講演会 11月26日

WEB講演会 11月26日

見えてきた機能性デイスペプシアの本態 公立黒川病院 管理者 東北大学名誉教授 本郷道夫先生
1概念 2推奨治療 3病態 4多元論化から一元論へ 5微細炎症 6見えてきたもの
Rome4 機能性ディスペプシア 診断基準
1 3か月以上にわたり以下の1項目以上があること
 A 不快な食後の膨満感
 B 不快な早期飽満感
 C 不快な心窩部痛
 D 不快な心窩部灼熱感
及び
2 症状の原因となりそうな構造的(上部内視鏡検査を含む)の所見がないこと

症状の出現から 食後愁訴症候群(PD) 心窩部痛症候群(EPS)に分類
FD PDS(食後不快愁訴症候群)  + EPS(心窩部痛症候群)
   食後のもてれ感or早期腹満感  上腹部痛or上腹部灼熱感

日本消化器病学会診療ガイドライン FDの示す治療選択
     Hp除菌
初期治療 酸分泌抑制 PPI/H2RA      FD    漢方薬
     消化管運動賦活薬 5HT4作動薬       抗不安 抗うつ薬 2次治療
                説明と保証 食事療法 生活指導
ROME4が示す治療選択肢 FD
         Hp除菌
単独もしくは併用 酸分泌抑制 PPI/H2RA        制吐剤 消化管運動賦活薬
         抗うつ薬           FD   5HT1A刺激薬 STW5     併用
         消化管運動賦活薬            モンテルカスト
         Prokinetics               H1/H2拮抗薬    
                 説明と保証 食事療法・生活指導
GLが示す治療方針
第一選択薬
酸分泌抑制薬or消化管運動賦活薬(or 抗うつ薬)
PPIとH2RAでは差がない
Cochraneは更新されていない
消化管運動賦活薬は制吐剤でもある

第二選択薬
抗うつ薬/抗不安薬 or 漢方製剤(or 制吐薬、抗ヒスタミン薬)
TCAは効くかもしれないが、SSRIは悪心を起こす
エビデンスに乏しい

慢性胃炎の治療薬臨床治験症状寛解率
粘膜保護剤 62% 消化管運動賦活薬 65% 抗不安薬 60% 酸分泌抑制薬 81%
PGE製剤 80%  漢方製剤 61% プラセボ 39%
どれでもある程度は効く
機能性胃腸症の薬物療法 メタ解析
H2RA・PPIs・消化管運動賦活薬・Sucralfate Bismuth salt  どれも有効な効果のデーターが
FDに関する消化管運動機能賦活薬の効果 メタ解析
アコチアミド(アコファイド) イトプリド(ガナトン)モサプリド(ガスモチン)効果あるが
アコファイドのみ研究結果にばらつきが少ない
PPIに対するメタ解析 論文7報  有意に有効なデーターが
     PPI  placebo
患者数  2387  1338
症状改善 40.3% 32.7%
FDに対するHp除菌治療 メタ解析 有意に効果がある アジア人でよく効く?
Hp除菌で症状が改善する症例がある
HP除菌には大量の抗生物質とPPIが必要
HP以外の腸内細菌にも影響がある
―下痢がおこるのはそのため
HP陰性症例に除菌レジメの抗生物質投与をした試験はまだ報告がない

RifaximineによるFD治療
Plceboに比して総合的症状 げっぷ 食後膨満感改善
FDに対する向精神病薬 の効果 メタ解析 
抗精神病薬+三環系うつ薬 有意に有効性あり
Prokinetics/消化管運動賦活薬とは?
Prokineticsとは、
消化管運動亢進と消化器症状改善を起こすもの
DopamineD2拮抗薬==運動機能改善効果が弱い

スルピリド     専ら抗うつ作用
メトクロプラミド  専ら制吐作用
ドンペリドン    同上
イトプリド     位置づけ不明
アコチアミド    ChE阻害剤も
5HT4受容体刺激薬
シサプリド    販売中止
モサプリド    大腸運動促進
プルカロプリド  大腸運動促進 海外のみ
置換ベンザミド構造を持つ
FD治療メタ解析
          文献  解析症例数 NNT  研究の質
三環系抗うつ薬   4   167      2  とても低い
消化管運動賦活薬  11   2164     5   低い
H2RA       11   2164      8   低い
PPI        13   5460      9   中等度
Hp除菌      21   4331      14    高い

こんなに違う薬がそれぞれに効くということは?
脳機能?三環系はそこそこ効くのに、SSRIやSNRIは効かない
胃運動? 胃排出遅延は健常者よりあるが、それほど顕著でもない。運動改善と症状改善は相関しない 
除菌治療?除菌したからといって、改善率は20-30%
酸分泌? H2RAとPPIの酸分泌抑制は、胃内PHの視点でみると大違いだが、臨床効果に大きな違いはない
どんな治療もプラセボよりいいが著効薬はない
FD診療ガイドラインで示された病態に関与すると推測された因子
社会的因子
心理的要因(特に不安や虐待歴)
胃形態
胃酸分泌
Hp感染
遺伝的要因
アルコールや喫煙などの生活習慣
胃排出障害 胃適応性弛緩障害 内臓知覚過敏
サルモネラなどの感染性腸炎の既往

機能性胃腸症状患者の胃排出遅延 n=881 36.7%
胃運動抑制は一般的には症状を起こさない
胃運動抑制薬                 主な副作用
抗コリン作動薬・鎮痙剤・三環系抗うつ薬    口喝、便秘、散瞳、尿閉
Ca拮抗薬                   皮膚紅潮 便秘
グルカゴン                   高血糖
GLP-1作動薬                  悪心・嘔吐
消化管運動賦活薬による症状改善と胃排出能は相関しない 
胃運動機能障害は病態の原因でない
鎮痙剤・Ca拮抗薬・ミントで胃運動抑制しても上腹部症状は起こらない
(胃カメラで胃運動抑制に抗コリン薬、グルカゴン、ミンンテア使うが)
長時間の飲食で胃内にいつまでも食事が停滞しても上腹部症状は起こらない
そもそも胃粘膜に知覚神経はない(胃粘膜生検は痛くない、アニサキスはアレルギー反応での痛み)
カプサイシンで胃の痛みは起こらない

FDの症状サブタイプでも病態に大きな違いはない
食後愁訴症候群(PD)と 心窩部痛症候群(EPS)
胃排出遅延の頻度・知覚過敏の頻度・不快閾値 有意差なし 
米国FD FD症状の重症度と睡眠障害は相関する
日本人においても FDあると入眠時間の延長・睡眠効率低下・睡眠困難・睡眠薬の使用に有意差
機能性消化管障害患者の心の心理偏奇 
FD患者では抑うつ症状と鑑別が困難なことがある
IBS患者は、特に下痢型ではパニック障害が高頻度に合併する
GERD患者では、食道粘膜病変の有無に関係なくFD症状、IBS症状の合併がみられる
FGID患者ではHR-QOLの障害が起こる
FGID患者では睡眠障害が高頻度で起こる
FGID患者はコントロール群に比べ一般うつスケールが高い 気分障害・不安障害 恐怖症の頻度(30%)高い

FDの病態としてわかっていることは 多種多様
遺伝要因? 内臓知覚過敏(機械的知覚過敏・化学的知覚過敏)
運動機能異常(胃排出遅延/前庭運動神経機能低下 胃底部弛緩不全 胃調律不整)
感染と免疫 (Hp感染胃炎・感染後FD・好酸球/肥満細胞増多)
心理ストレス(小児虐待 身体化障害 抑うつ/不安)

病態の考え方
病態がわからなければ対応法もわからない
消化管運動異常は関係するのか
内臓知覚過敏は関係するのか
酸分泌亢進は関係するのか
無酸症は関係するのか
Hpは関係するのか
オーバーラップ症候群はどうして/食道症状、便秘、下痢症状
精神心理症状との関係はどちらが先か
FDの多くの症状・病態がそれぞれ独立しておこるとは考え難い
微細炎症説
急性胃腸炎集団発生のFDおよびIRB患者の発生状況
急性消化管感染症(AGE)677名 年齢をマッチした住民1201名
感染症 FD 1年で13.4% vsコントロール 2.8% 
感染症 IBS 1年で10% vsコントロール  0.7% 
CD感染既往患者は機能性消化器症状をきたしやすい(IBS・GERD・便秘・上腹部愁訴)
感染後FDではEC細胞数↑ ヒスタミン・5-HT放出増加
FD患者の十二指腸酸性化により症状が出現する割合が多い

FD患者における十二指腸内酸/脂質刺激による症状誘発
1995年 研究 脂肪 酸 胃機械的知覚 脂肪負荷で知覚過敏
1999年    酸    十二指腸内圧/PH 十二指腸酸クリアランスの遅延及び運動機能低下
2001年    脂肪    CCK-A拮抗薬による症状評価  拮抗薬が脂肪負荷による胃コンプライアンスお
よび症状誘発に拮抗
2003年    脂肪     胃機械的知覚         脂肪負荷で知覚過敏
2004年     酸    24h十二指腸PH       悪心を伴うFD患者で酸性化が多い
2009年     酸    48h十二指腸PH       FD患者で酸性化が多い
十二指腸でのFD患者 黄色ブドウ球菌・Actinomycesが多かった
十二指腸菌量と飲食QOLスコアーは逆相関 菌量多いと飲食スコアーは低下する 

FD患者の腸管粘膜免疫活性化
十二指腸球部・第二部で好酸球増多  
十二指腸球部・第二部で好酸球増多・肥満細胞、上皮リンパ球は正常
十二指腸       CD8陽性T細胞、マクロファージ増加 CD4陽性細胞減少
十二指腸球部・第二部  PI-FD患者でマクロファージ増加・好酸球増多  
胃前庭              肥満細胞増加 トリプターゼ・ヒスタミン・セロトニン分泌亢進
感染後FD患者の十二指腸生検組織中の炎症細胞および5HT産生細胞の分布状況
好酸球・CD-68陽性細胞・CCR-2陽性細胞増加

健常者に比べEPS・PDSも増えているが有意に感染後FDでCCR-2陽性マクロファージ増加
うつ病においてもコントロール群に比し優位に炎症サイトカインIL-6・IL-8・TNF-α・CRP増加する

感染性胃腸炎を起こしやすい人の特徴
不安スコアー・抑うつスコアー 身体化スコアーが高い人
十二指腸はマスターコントローラーである
十二指腸内環境変化と主な消化ホルモン
酸性化 セクレチン                   膵分泌を促進する
糖質   GIP/enterogastarone(K-cell)   enteogastaroneは胃酸分泌・胃運動抑制に関与
                       GIPインスリン分泌を促す
ペプチド   CCK(I-cell)       堪能収縮 膵酵素分泌作用のPancreozyminと同じ
脂肪酸ほか
空腸内糖室   GLP-1          グルカゴン↓インスリン分泌
FDの発症機序の考え方
上部消化管細菌叢  ← 摂取・食物
   ↓           ↓  
    
粘膜炎症(十二指腸)
         ↓
       
神経性経路
CNS効果 内臓知覚過敏 受容性弛緩の障害 胃排出延長

 
機能性ディスペプシアの病態と治療標的 新たな視点
 

抗不安・抗うつ薬→不安・抑うつ   中枢性知覚過敏  ←向精神病薬
      抗菌薬    ↑    悪心・腹部不快症状消化管運動賦活
      ↓      ↑     ↑             ↓
漢方薬 → dysbiosis   ↑     ↑            ↓
      十二指腸粘膜微細炎症 →  →消化管運動変調 ←
       ↑             末梢知覚過敏
      酸分泌抑制
 
脳 Area postrema 延髄最後野 CTZである
GABA
GLP-1   CTZに受容体がある
5HT3
オピオイド 

           微細炎症粘膜(十二指腸)
ストレス   →   消化管ホルモン産生  GIP・CCK・GLP-1など →血流 →延髄最後野→症状知覚
腸内細菌                  5HT           
 ↑          内因性1次知覚神経 壁内神経叢   求心性神経 →大脳     →   ↑
 ↑          免疫反応      消化管平滑筋↓          ↑
食物(脂肪)酸など             消化管運動異常       
            炎症       →サイトカイン↑      → ↑ ストレス
 

機能性ディスペプシアの謎
運動機能は関係なさそう
消化管運動賦活薬はつまり中枢に作用するもの
酸の影響はありそう 消化管ホルモンが絡んでいるかも
急性胃腸炎が影響していそう
睡眠障害もありそう
抗菌剤で何かが変わるようだ
症状がオーバーラップするからには原因は胃にはいなさそう
すべては研究者/医療者の関心の向かうところてんでばらばらの解釈がされているだけでなないか
十二指腸粘膜の微細炎症に由来する粘膜過敏性
知覚過敏
過剰内分泌反応 酸・脂質への反応 消化管運動変調への影響
微細炎症は抑うつ症状 睡眠障害とも関連
→十二指腸粘膜への刺激を抑制する
→十二指腸から発する反応を抑制するか

 

2019-11-27 15:09:07

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