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WEB講演会 10月31日

WEB講演会 10月31日

社会復帰を目指したうつ病の治療戦略―寛解からその先へ・・エスシタロプラムの役割とは?-
産業医科大学医学部 精神医学教室 講師 堀輝先生

我が国のうつ病患者の受診状況と診療
我が国の精神疫疾患疫学調査において
1年有病率では、うつ病患者は2.7%であり、過去12カ月間に精神疾患を経験した。過去12カ月に精神障害を経験したもののうち19.3%が精神科医を、12.6%が一般医を受診し、過去の報告と比較しても精神科医の受診が増加している。受診率は23.0% 未だに約4分の3は未受診・未治療
その一方で、日本の精神科医は外来受診に十分は時間がとれていない
      精神症状の評価をはじめ、評価等に興味はあるものの出来ていない

Absenteeism と presenteeism
Absenteeism 休業していることによる生産性が低下した状態
Presenteeism 出勤しているにも関わらず健康上の問題により生産性が低下している状態
間接費用の内訳比率
      Absenteeism と presenteeism    失業費用  死亡費用
うつ病      53%              17%   30%

不安障害     59%              31%   10%
医療や福祉的な側面だけでなく働けない、働く力が低下していることによるものが大きい
我が国における産業精神保健領域におけるうつ病診療の現状
86.2%の事業所が、メンタルヘルスの問題は生産性の低下を通じて企業パフォーマンスに負の影響がある
メンタルヘルスの不健康度指標が上位5%の人のうち58%が就労しており、そのPresenteeismが増加傾向である
他国と比べると、日本はAbsenteeism が圧倒的に大きいが、それでもPresenteeismがAbsenteeismと比べても大きい
職場内のAbsenteeism や presenteeism は他の同僚が仕事をフォローする必要があり、メンタルヘルス不調者以外の労働者の負担が増え、新規不調者を増やす可能性がある
新規メンタルヘルス不調者の企業では、その後経営状態が悪化する

今回のテーマ
寛解を目指した治療と薬剤選択 治療ターゲットとしての認知機能障害
まずは寛解を目指すきちんと症状を改善を

うつ病治療におけるHAM-Dの改善度と健康関連QOL(SF-36)の関係
    ベースライン178例 HAM-D50%未満 38例  HAM-D50%以上 19例 寛解121例
活力     23.4        26.8        36.6        61.4    国民標準値 65.8
社会生活機能 48.5        48.7        50.0        82.3         86.2
日常の役割機能 15.0       21.9        31.6        74.9         83.8
心の健康    30.1       43.5        52.6        72.8         72.7
うつの症状(希死念慮・抑うつ感・・)が改善してもQOLはまだ低下している 寛解までもっていくべき
働くためには、初期治療で精神症状を改善させることが重要
STARD試験 SSRI(エスシタロプラム)
初回治療における精神症状改善した場合、作業生産性も改善する
2回目治療で寛解に至った場合は職場での作業性に障害がみられた

予測が難しいがどういう人にエスシタロプラムがきくか? 48人のうつ病患者で検討
MHPG(ノルアドレナリンの代謝産物≒不安の指標因子?)8ng/mlの患者さんがエスシタロプラム効きやすい?
感受性90%特異度 85.7%

うつ病患者における就労に影響のある臨床症状(n=164)
意欲の減退>気力の低下>不安>集中力の低下>睡眠障害≒記憶障害
就労に影響を及ぼす副作用(n=164)
眠気>睡眠障害>頭痛≒不安・焦燥
CANMAT 昼間の眠気の少ないSSRI エスシタロプラム・デュロキセチン
治療ターゲットとしての認知機能障害
認知機能障害(集中力の低下、記憶障害、言語学習障害、遂行機能障害など)もっともよくみられる症状の1つ
初発MDDでは精神運動速度、注意力、視覚学習、視覚記憶、注意の切り替え、言語流暢性、認知柔軟性の障害が認められる

うつ状態の重症度と関連
うつ患者の認知機能障害の中でも遂行機能障害、集中力の低下、ワーキングメモリ、処理速度は労働生産性に影響する
認知機能障害は就労状況と関連がある
MDD患者の認知機能はヘルシーコントロールと比べて低下:記憶・処理速度・注意・遂行機能

うつ病エピソードにおける認知機能障害の割合 9研究において77-94%
うつ病患者の認知機能障害は精神症状改善に伴う?(抗うつ薬)
気分改善
意欲の改善
易疲労感の改善
注力力の改善

メタ解析 寛解になっても約半数のうつ患者は認知機能障害が残存 注意力・記憶・遂行機能障害が残る
復職決定時のデーターから前向きにその後の継続を予測 103人
休職中の就労者うつ病患者を対象に復職決定時に背景情報、精神症状、社会適応度、認知機能障害を評価
1年間経過観察し復職継続因子を検討

複雑なワーキングメモリー課題の正答率は復職成功を予測する
SASS・3-back Correct response 得点が高いと〇・ベンゾジアゼピン量多いと×
*SASS うつ病患者の社会適応度を評価 自己記入式 20項目 60点満点 得点が高いほど社会機能が保たれている
*3-back
 Correct response 4つの数字をいい 3つ前の数字を押す
DLPFC(背外前頭前野) 1つ前をおすより、2つ前、3つ前を押す方が血流増加 脳を多く使う
ギリシャでのエスシタロプラム(レクサプロ)
5175例 うつ病 エスシタロプラム 10-20mg/日 3か月間
SDSで評価 3か月後 仕事/学習 社会生活 家族内のコミュニケーションや役割 80%以上改善
労働生産性 欠勤日の割合 10% 非生産性 非労働日数1日↓
エスシタロプラムは就労しているうつ病患者、不安症状を併存したうつ患者、重症患者を含むうつ患者に対する第一選択薬としての価値を裏付けた

まとめ
職場のメンタルヘルス不調が注目されており、体調や欠勤の視点のみならず、働く機能まで回復が必要である
寛解をめざした薬物療法、個別的治療選択が望まれる
認知機能障害も治療ターゲットとしては重要かもしれない
エスシタロプラムはSSRIの中でも使いやすく、安全性も高く、労働生産性を向上させるといった報告がある

 

2019-11-01 09:30:54

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