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WEB講演会 4月9日

WEB講演会 4月9日

クリニカルイナーシアを回避する、インスリン療法
大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター センター長 細井雅之先生

いつも通り細井先生のお話は論文を交え、とても面白くわかりやすい講演でした
イナーシア Inertiaとは
慣性、惰性、惰力、不活発、ものぐさ、遅鈍、無力(症)、緩慢
Clinical Inertiaを提唱したのはPhillipsら2011年論文で
高血圧や高脂血症、糖尿病など無症状の疾患に対して:必要な時に治療開始や治療強化を治療者が行わないこと
ADA/EASDコンセンサスレポート2018
2型糖尿病患者における血糖降下療法:全般的アプローチ
ファーストライン療法:メトホルミンと包括的生活習慣管理(体重管理・運動療法含む)
ここにクリニカルイナーシアを避けるために3-6カ月ごとに治療を見直す
ASCVD/CKDの既往あり
クリニカルイナーシアを避けるために3-6カ月ごとに治療を見直す
ASCVD+ なら GLP-1 RA、SGLT2i考慮 その次はDPP4・基礎インスリン・チアゾリジン・SU剤
心不全、CKDならSGLT2i考慮(eGFR不適切なほど低下の場合、SGLT2i耐用困難なら GLP-1 RAを)
最後にはSU剤・基礎インスリン
体重増加抑制や減量が必要な場合における血糖降下剤の選択
クリニカルイナーシアを避けるために3-6カ月ごとに治療を見直
ASCVD/CKDの既往なし
ファーストラインはメトホルミン
GLP-1 RA  SGLT2阻害剤(eGFRが許容される場合)
最後に SU剤、チアゾリジン・基礎インスリン考慮
低血糖リスクの最小化が必要な場合における血糖降下剤の選択
クリニカルイナーシアを避けるために3-6カ月ごとに治療を見直す
ファーストラインはメトフォルミン
DPP4阻害剤 ・GLP-1RA・SGLT2阻害剤・チアゾリジン薬
最後にSU薬・基礎インスリンの追加考慮
 
インスリン開始になるまで何年かかるか?Diabetes&Metabolism43 2017
カットオフHBA1C8%として、インスリン開始になるのが、経口剤1剤のもので5年で5%ほど、経口剤2剤のもので5年で10%のみ
 
イナーシアの原因は医師が50%、患者が30%
医師に関する要因          患者に関する要因      ヘルスケアに関する要因(20%)
ゴールを示していない        病を受け入れられない    クリニカルガイドラインがない
治療開始していない         重症だと認められない    疾病登録がない
目標達成のための治療強化していない ヘルスリテラシーが低い    意思決定のサポートがない
時間不足              薬が多い          チームアプローチがない
患者の望みを過小評価        薬剤の副作用        医師とスタッフのコミュニケーション
                  医師と患者のコミュニケーション 不足
                  不足
                  医師への信用欠如 症状がない
クリニカルイナーシア:インスリン開始にあたって
医師の要因 低血糖への恐れ
Diabetes 2015 Oct 64 3353-3354
インスリン皮下注射療法は二重処罰 
通常、門脈内のインスリン濃度は、全身循環の約4倍高濃度
Too Little 高血糖: 皮下注射で行うインスリン療法は、正常者での門脈への注入に比べて低濃度であり
           その結果、肝臓での糖新生増加
Too much 低血糖: 末梢インスリン投与量を増加すれば、門脈ではなく、主に骨格筋への濃度が増加し、低血糖の
           危険性
インスリン療法は、2重罰にならないように多すぎず、少なすぎず、速やかに末梢から吸収され、十分な量が門脈に到達されることが理想 ヒューログで速やかに吸収され、too littleにさせない
       グラルギンで持続させ、Too muchにさせない

2003年登場のグラルギンが2012年エビデンス発表 ORIGIN研究 40か国 12500例を超える患者
追跡期間 6,2年 インスリンの早期使用により心疾患などのリスクを低減できるかが検討
心血管系疾患のリスクの高い2型糖尿病と診断されて5年程度の早期患者や、糖尿病予備群である空腹時高血糖や耐糖能異常の患者らを「インスリングラルギン」を投与する患者と、経口薬などによる一般的な治療を受ける患者に分けて、心血管系疾患の発生などを安全に低減できるかどうかを比較 非劣性
細血管障害はHBA1C6.4%以上ではでは優位に抑制した
研究を通じて、インスリングラルギン治療群の空腹時血糖値は正常レベルである6mmol/dL(108mg/dL)以下を維持していた。HBA1cは標準治療群より優位に低かった (6.2%vs6.5%)
インスリングラルギン治療群の平均体重増加は約1.6kg、低血糖症の頻度も年間に1エピソードを若干上回る程度で、深刻なものではなかった。

        1年あたりの低血糖発現率 通常群 vs 強化療法群
ACCORD研究                1.0%   3.1%
ADVANCE研究                0.3%   0.6%
UKPDS研究                 0.4%    1.8%
VADT研究                 1.8%     3.8%
ORIGIN研究                 0.3%    1.0%
この研究で基礎インスリン分泌を補うインスリン療法は有用で危険性が低いことが示された
(がんのリスクとの関係については、いずれの部位のがんでも上昇はなかった)
 
BOT療法で低血糖になるのはどのような症例か?Diabetes Care 2015

高齢者、高血圧、血清Crレベル高値、認知機能低下に関連があり、もとのHBA1Cの値とは関連がなかった
 
2型糖尿病においてデグルデグ(3818名)、グラルギンU100(3819名)にランダムに分け、夕食前から眠前の間に
投与し、心血管アウトカムを比較 両者有意差なし N Engl J  Med 2017、377:723-32

HBA1C低下は両者同じだが、デグルデグの方が空腹時は低下し、重症低血糖、夜間低血糖は少なかった
ところがサブ解析でアジア人と新規インスリン導入群では重症低血糖は優位差はなかった
 
J Diabetes Invest 4-605 2013  インスリン新規導入のアジア人435名の2型糖尿病(平均58.6才)
デグルデグとグラルギン一日1回投与の比較試験では空腹時血糖、低血糖発症率、夜間低血糖は優位差無し

クリニカルイナーシア:インスリン開始にあたって
医師の要因 経口薬の次はインスリンでいいのか、新しい注射製剤でいいのかわからない?
Diadetes Care 2015 38 2200-2203 インスリンは90年たってもなくてはならない「黒いドレス」
新しい経口血糖降下剤が次々にでても、2型糖尿病患者にとつてインスリン療法は、基本ニーズをおさえ、すたれることなく、どんなニーズにもあわせる、糖尿病治療の「黒いドレス」である

大阪市立大学データー
BOTにおいて併用薬、注射時間が血糖変動・低血糖に及ぼす影響
外来21名入院37名 年齢 70歳 
2010年6月から2013年11月でグラルギンを用いたBOTを行っている106名にCGMSを行いその中で空腹時血糖の皮下グルコース81-140mg/dlであった58名

グラルギン投与は朝でも夕でも同じか? 朝食前 22名 夕食前 34名で検討
朝食前血糖値が同じでも一日の血糖プロファイルは違っていた
夕食前投与は夜間血糖は増加させずに平均血糖、変動を抑えていた(内因性インスリン分泌が保たれた症例では)

理由に関係する論文 Diabetes 2018 67 1237-1245 Alan D Cheringtonらの論文 犬での
クランプ1 絶食後翌朝4時間クランプ                               
1)  正常インスリン高血糖クランプ
(門脈内インスリン0.3mU/kg/min持続注入)
2) 高インスリン正常血糖クランプ
(門脈内インスリン2.1、2.4、1.5mU/kg/min持続注入)
クランプ2 6-10時間クランプ 昼食後高血糖を模倣 高インスリン高血糖クランプ
    (門脈内インスリン1.2mU/kg/min持続注入、門脈内ブドウ糖4mg/kg/min注入)
高インスリン正常血糖クランプ群は午後のクランプでは、Netのグリコーゲン蓄積や肝ブドウ糖アップテイクは約2倍に増加した 肝組織のグリコーゲン合成酵素活性上昇とグリコーゲン分解酵素抑制した
早朝に血中インスリンレベルを上げておくことが、日中の肝臓でのブドウ糖取り込みをあげ、グリコ―ゲン貯蓄を増やす
機序としてグリコーゲン合成酵素上昇とグリコーゲン分解酵素活性抑制が起こる

医師の要因 注射手技の不安
J Diabetes Investig 2017 Aug 28
「1分間に思い出せる動物の名前の数」でインスリン治療の可否を判定 横浜市大 寺内教授
1週間以内に注射手技をマスターした群(n=36)とできなかった群(n=21)
重回帰分析で動物テストが最も関連した
動物テスト11個未満ではインスリン自己注射確立に1週間以上かかる
11個以上思い出せると1週間以内で自分でインスリン治療を管理できると予測 感度73%特異度91%

患者さんの要因 経済的な負担が不安
インターネットアンケート 
インスリン開始前 一生うつことになる>面倒>経済的負担が不安>注射が怖い・痛い
インスリン開始後 経済的負担が不安が一番になる
インスリンアナログ製剤(デイスポーザル)
インスリングラルギンBS注ミリオン 300単位1キット 1481円
ランタスゾロスター         300単位1キット 1936円
トレシーバフレックスタッチ     300単位1キット 2502円
(カートリッジ)
インスリングラルギンBS注カート  300単位1キット  
915円
ランタス注 カート         300単位1キット 1431円
トレシーバ注 ペンフィル      300単位1キット 1778円

 
クリニカルイナーシアの心構え 佐藤利彦先生 著書 糖尿病療養指導心得7か条
患者さんによりそう態度は「3つのR」
Request 何を望んでいるのかを聞く
Repeat  何度でも繰り返して接する
Respect 患者さんを尊敬する
そしてこれらのことが患者さんから4つめのRを得る  
Reliance 信頼


 

2019-04-10 08:54:35

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