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第24回吹田市医師会イブニングセミナー 2月9日

第24回吹田市医師会イブニングセミナー 2月9日

第24回吹田市医師会イブニングセミナーを聴きに吹田市立保健センターに行ってきました

Commonに潜む見逃すと怖い疾患 大阪府済生会千里病院 副院長 総合診療部 寺田浩明先生
風邪症候群
上気道(急性上気道炎)および下気道(急性気管支炎)を含む
急性発症しほとんどの場合自然治癒するウイルス感染症で
多くは咳 鼻水 咽頭痛など多症状を呈する 
ウイルス性 90% ライノ コロナウイルスなど
細菌性   10% GAS(A群β溶連菌)マイコプラズマ クラミドフィラなど
年間平均罹患回数 10歳未満 3-7回 10-39歳 2-3回 40歳以上 1-2回
咽頭痛について
咽頭痛 見逃してはならない疾患
急性喉頭蓋炎 扁桃周囲膿瘍 咽後膿瘍 Lemierre症候群  Ludwig angina 
これら5つをKiller sore throat (気道狭窄など見逃すと生命に関わる頸部感染症)と呼ぶ
深頸部感染症 口腔 扁桃 咽頭などの細菌感染が軟部組織に波及→軟部組織を有効に隔てる壁がない
        ため、炎症は急速に拡大 (縦隔や脳へ) 膿瘍形成時はドレナージ必要
その他に アナフィラキシー 急性心筋梗塞 大動脈解離 
*左前胸部や下あごの痛み+嚥下痛(-)は血管系も考える 
咽頭痛のRed Flag sign
突然発症 急性発症 こもった声(hot potato voice) 強い嚥下痛→嚥下障害
流涎(つばものみこめない) 呼吸困難 Stridor (息が吸いにくい喘鳴)
顔面頸部の腫脹 前頸部の圧痛 開口障害 口蓋垂の偏位 咽頭所見が軽いわりにsick
扁桃腫大+口蓋垂偏位 胸痛 背部痛 冷汗

1 急性喉頭蓋炎について
急速に進行し気道閉塞をきたしうる特に小児 
好発年令 全年令 小児 2-8才(Hibワクチン導入で↓) 成人40-60歳
起炎菌 インフルエンザ桿菌b型 連鎖球菌 黄色ブドウ球菌 肺炎球菌など
疑うポイント 激しい咽頭痛 嚥下痛の割に咽頭所見乏しい 舌骨周辺に圧痛がある
小児 症状/所見                     成人 症状/所見
突然発症 急激に悪化                 咽頭痛が最大の症状 90-100%
強い咽頭痛 嚥下痛                  強い痛みの割に咽頭所見乏しい 愛護的な観察を
*舌圧子を用いた観察は原則禁忌(窒息誘発)      高度な嚥下障害 90-100%
発熱 50% Stridor 80% こもった声        つばも飲めない→流涎 15-65%
前頸部圧痛 40%                   発熱26-90% こもった声 50-80%
Tripod Position Sniffing position          Stridor 33% 嗄声 20-40% 
横になりたがらない→無理に横にしない(息が苦しいので) 気道狭窄/閉塞 小児に比べおこしにくい 
                            (気道内腔が広いので)
頸部軟線側面像
Vallecula sign 喉頭蓋谷の消失 感度 98.2% 特異度 99.5%
Thumb sign 喉頭蓋の腫脹により喉頭蓋が丸く腫大 感度 40% 特異度 75%
治療 いつでも緊急気道確保ができる体制 気管内挿管 輪状甲状靭帯穿刺/切開など(特に小児)
   小児では舌圧子で咽頭観察しない 無理に仰臥位にさせない  
   直ちに耳鼻科コンサルト
  抗菌薬 CTRX(ロセフィン) SBT/ABPC(ユナシン) PC耐性菌ふえているので
  ステロイド リンデロンなど賛否両論なり
2 扁桃周囲膿瘍
  細菌性扁桃炎が周囲に波及したもの 扁桃炎→扁桃周囲炎→扁桃周囲膿瘍
  深頸部感染症で最多 通常 片側性 好発年令 20-40才 
  起炎菌 複数菌による混合感染(GAS ブドウ球菌 嫌気性菌など)
  疑うポイント 開口障害 口蓋扁桃周囲の著明な張り出し 口蓋垂の健側変位
  症状/所見 激しい咽頭痛 嚥下痛 通常 片側性 高熱 
       開口障害66% 内翼突筋への炎症波及による ドレナージ適応の1つの判断材料
        こもった声 流涎 非対称性扁桃腫大 白苔付着
        扁桃リンパ節腫脹 口蓋垂の健側偏位
   咽頭後間隙→縦隔炎 傍咽頭間隙 → 脳炎?
 治療 耳鼻科コンサルト 通常、ドレナージを要する 穿刺吸引 切開排膿など
    抗菌薬 SBT/ABPC(ユナシン) AMPC/CVA オーグメンチンなど
    ステロイド しばしば併用される エビデンスは一定しない
3 咽後膿瘍
 咽後間隙に膿瘍形成 深部感染症→合併症に注意 縦隔炎、気道閉塞
 好発年令 5歳以下(75%) 近年は成人例も増加 起因菌 種々 好気性菌 嫌気性菌 結核菌など
 病態 原発感染巣(頭頸部、副鼻腔など)→咽頭後リンパ節の化膿性炎症→周囲への炎症が波及し膿瘍形成
 症状/所見 発熱 咽頭痛 84% 頸部痛 嚥下痛 嚥下困難 55% 頸部リンパ節腫脹
       項部硬直 44-64% 髄膜炎との鑑別要 小児では斜頸も
       咽頭所見 咽頭後壁腫脹 37% 特に乳児では 急性喉頭蓋炎に類似
 頸部軟線側面像 咽頭後壁軟部組織陰影の肥厚(まれにガス像) 
        正常C3レベル<7mm C6レベル 成人<22mm 小児<14mm

治療 耳鼻科コンサルト 必要に応じて気管管理 抗菌薬 SBT/ABC ユナシン オーグメンチンなど
   必要に応じて切開排膿
4 Lemierre症候群
  内頸静脈の化膿性血栓性静脈炎 口腔咽頭感染症に続発 1週間以内が多い
  通常 片側性 好発年令 健常な若者に発症(20才前後) 50歳以上で報告なし
  起炎菌 主にFusobacterium属などの嫌気性菌 合併症 肺を中心に血行性播種→Septic emboli
  症状/所見 激しい咽頭痛 極めて特徴的 高熱 Spiking fever 悪寒戦慄を伴う
        頸部痛 片側性 胸鎖乳突筋に沿った圧痛(内頸静脈が下にある)
        開口障害 嚥下痛
        他の部位への合併症 肺塞栓(ほぼ必発)胸膜炎 膿胸
        多臓器膿瘍 脳腎関節など
 頸部動脈エコーで内頸静脈に血栓 造影CT 最終診断 内頸静脈 血栓 肺塞栓
 治療 血液培養採取 救急センターコンサルト 抗菌薬 SBT/ABPC ユナシンなど
    抗凝固薬 賛否両論あり 外科的治療 抗菌薬無効例でのみ考慮される
5 Ludwig angina
  顎下間隙に生じた口腔底蜂窩織炎 深頸部感染症の13% 膿瘍はあまり形成しにくい
  好発年令 20-60歳 40%に基礎疾患 小児はほとんど見られない
  原因 歯性感染症 90% 特に第2、3大臼歯のう歯
 起因菌 混合感染 50% 緑色レンサ球菌 ブドウ球菌 嫌気性菌など
 症状/所見 高熱 悪寒戦慄 咽頭痛 嚥下痛 開口障害はめったにおこらない
      流涎 こもった声 顎下部 舌下部の炎症性腫脹 
 両側性 木のように硬い腫脹 口腔底の盛り上がり 舌腫脹
  造影CT 顎下部軟部組織の腫大 周囲脂肪織濃度上昇 
 治療 歯科口腔外科 救命センターコンサルト
    気道管理 内視鏡下経鼻挿管など
    抗菌薬 SBT/ABPC(ユナシン)など
    ステロイド 賛否両論あり
    外科的ドレナージ 早期には膿瘍を形成しにくい 形成時は穿刺または切開排膿
風邪症候群をめぐる最近の動向
不適正な抗微生物薬使用による有害事象として薬剤耐性菌とそれに伴う感染症の増加が近年国際社会
で大きな問題となっている 2050年には全世界で年間1000万人が耐性菌により死亡
1980年以降新たな抗微生物薬の開発は減少する一途
2016年 日本で薬剤耐性対策 アクションプランの閣議決定 2017年6月 厚生労働省が
抗微生物薬適正使用の手引き第1版を発行
日本は抗菌薬使用量自体が多いわけでなく経口セファロスポリン系キノロン系マクロライド系の比率が極めて多い
逆にペニシリン系は低い

 かぜ症候群に対する一律抗菌薬投与の是非 利益が少なく有害事象の危険性が高い
 かぜ症候群 診療ポイント 
 鼻炎症状 咽頭炎症状 下気道炎症状から病型をイメージする
 大部分のウイルス感染と一部細菌感染を見極める 
 ウイルス感染は多領域に同時に症状出現 細菌感染は限局性 片側 一か所 一臓器
 細菌感染は対症療法では一直線で悪くなるか良くなる 2相性の経過は細菌感染を疑う
 Commonに潜む怖い病気を除外する
 抗菌薬は必要な症例に適切なものを適切な期間投与する 一律投与は慎む 起炎菌を想定して選択する
 例 咽頭炎型 
 10%GAS 
 Centor クライテリア 
 138℃以上の発熱 2咳がないこと3扁桃腺の部分が白くなっている(滲出性扁桃炎、白苔の付着)
 4圧痛を伴う前頚部(首の筋肉の前方)のリンパ節の腫れ

 0-1点:溶連菌感染症の可能性は低い。→抗生剤は処方しない
 2-3点:溶連菌迅速抗原検査を行って判断する
 4点:40%以上の可能性があるので、抗菌薬の投与を考慮する
      *迅速検査(A群β溶連菌迅速キット)
 5Killer Sore throatの除外 

 

2018-02-11 03:41:04

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